昨年9月から政府の「働き方改革実現会議」が始まり、「同一労働同一賃金」「多様な働き方」「副業・兼業の推進」など、関連したニュースがメディアに取り上げられることが多くありました。
その中の「副業・兼業の推進」についてですが、現在は、ほとんどの企業において、就業規則で副業を禁止しており、厚労省作成のモデル就業規則にも副業を禁止する条文が含まれているのが現状ですが、「働き方改革」では、従来の考え方と異なった方向に舵を切ることになります。
従業員が副業することについては、次のようなデメリットがあると考えられてきました。
①本来ならば心身の休息のためのプライベートの時間を、労働に使うことにより、疲労が回復せず、本業に支障が出る
②副業が本業と似たような業種である場合、ノウハウや顧客情報などが他社に流出する可能性がある
しかし、今回の働き方改革実現会議の議論では、副業のメリットとして次の点が挙げられています。
①労働者が一つの企業にとらわれない働き方を形成することができ、定年退職後の再就職等がスムーズに行えるようになる
②副業で得た知識や人脈を本業に還元することで、本業の活性化を図ることにつながる
③正社員、短時間労働者、フリーランスなどを組み合わせた選択ができ、所得を得るための選択肢が広がり、一人一人の人生に合わせた柔軟な働き方ができる
これまでは、どちらかというとデメリットに目を奪われていた副業・兼業ですが、「近年の社会変化のスピード」、「生活様式の多様化」、「インターネットを用いたビジネスの台頭」などを考えますと、メリットの方にもっと目を向けても良いように思われます。
国の政策会議で「副業・兼業の推進」が議論されていることは、勤め先を一つに絞って働いてきたサラリーマンの働き方が、大きく変わる兆しなのかもしれません。
しかしながら、視点を変えて、法律面から考えますと、副業・兼業を推進していくためには、労働基準法や社会保障関係のいくつもの法律を、そのような働き方に対応した内容に改定していく必要があると思われます。
したがいまして、すぐに何かが変わるとは思えないわけですが、将来に向けて着実に変わっていくであろう私たちの「働き方」について、今後も注目していきたいと思います。
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