従業員を採用するときは、①求人広告の掲載→②応募者との面接、試験→③採用通知→④入社(労働契約の締結) というのが一般的な流れです。
①の時点で、ある程度の幅をもたせた給与額や労働条件を明示して、④の入社に際して具体的な条件を明示することは法律違反とはなりませんが、近年は、ハローワークの求人だけでも「求人票の内容と実際の労働条件が違う」「基本給に残業代が含まれていると言われた」「求人詐欺」などの苦情が多く寄せられ、会社と従業員の間で訴訟に発展しているトラブルも起きています。
これらを踏まえて、本年1月から職業安定法が改正され、求人広告を出すときに明示するべき労働条件が増えたり、ルールの変更が定められました。一部は、ハローワークの求人では以前から記載していた項目ですが、今回は民間の求人広告でも明示が義務付けられました。
◆追加となった項目
①試用期間に関する詳細な労働条件
②裁量労働時間制が適用される場合はその旨
③固定残業代を採用する場合(下記の内容を明示する)
(1)固定残業代の算定基礎となる労働時間数及び金額(「〇〇時間分の時間外手当である」等)
(2)基本給に残業代が含まれる場合には、それぞれの内訳
(3)固定残業代の見込みより実際の残業実績が上回ったときはその差額を支払う旨
④派遣労働者として雇用する場合はその旨
また、求人票では「基本給20万円~25万円」など幅を持たせていた金額が21万円と決まった時や「手当が支給されなくなった」等の求人内容に変更があったときは、下記のアクションが必要となります。
①少なくとも内定通知の際には、決定金額や変更内容を応募者へ通知する
②書面により労働条件を通知するときは、新旧対照表を作るか、変更箇所に下線や色を付ける。
以上、いろいろと規制が増えた求人広告ですが、基本的には、応募する人も採用する企業も曖昧な表現は控え、採用後の「そんなこと聞いていない」「今頃そんなこと言われても」というようなトラブルを防止していく取組みが重要です。
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