従業員の中には、能力不足や真面目に仕事に取り組まない、職場での協調性に欠けるなど、どうしても会社が求める人材ではないと判断される者が出てくる場合があります。
そういった従業員に指導や教育をしても一向に改善される余地が無いと判断された場合には、会社を辞めて頂くことを検討するケースが出てくるかもしれません。
その場合には、会社と従業員で大きなトラブルにならないようにする為、法律を守るだけではなく、なるべく双方が納得するかたちで雇用関係が終了するように十分な配慮を行う必要があります。
1.問題を抱えた従業員がいる場合に会社が踏むべき手順
ひとえに「問題を抱えた従業員」といっても、その内容や程度は様々であり、他の従業員よりも少し仕事が遅いとか、やる気が見えないとか、なかなか営業成績が上がらない……と言った程度で、すぐに辞めてもらうことは出来ません。
辞めてもらう為には、法律に基づく手続きを踏むことと、誰が見ても退職させられてもやむを得ないと思われる理由があり、かつ退職以外の方法では解決が図れないという状況であることが求められます。
① 問題を抱えた従業員がいる ◆作業能力が他の従業員に比べて著しく劣る ◆同じようなミスを度々し、注意してもあまり改善されない ◆同じ職場の周りの従業員と上手くコミュニケーションがとれない(協調性が無い) ◆遅刻が多く、何度注意してもなおらない ◆仕事上のことで注意をしても、指示・命令に従わない etc. |
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② 当該従業員と面談の機会を持ち、問題があることを伝え、改善を促す (口頭だけでの指摘ではなく、書面にして伝え、その記録も残すことが大切) ◆問題があることをなるべく具体的に説明し、認識してもらう また、場合によっては職場へ悪影響を与えていることも伝える ◆具体的な改善策を当該従業員と話し合い、期限を定めて改善の期限を設定する |
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③ 度々指導し、改善の機会を設けても、一向に改善しない場合 ◆複数回、面談の機会を持ち、問題点が改善されているかを確認する ◆一向に改善されない場合、又は到底、会社が望むレベルに届かないことが明確な場合は、当該従業員に「次回、改善がされないようであれば、これ以上、雇用の維持は難しいと考える為、退職も視野に入れて考えてみて欲しい」旨を伝える |
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④ 別の職種への異動、または退職勧奨(最終的には解雇)を検討 ◆他に適性の合う職種に異動させられないかどうかを検討する ◆理由を明確にして退職を促す(退職勧奨) ◆退職勧奨にも応じない場合には、理由を明確にして解雇をする |
2.解雇をする際の手続き及びリスク
解雇をする場合の法的な手続きは、退職日の30日以上前に解雇予告を行うか、もしくは30日分の解雇予告手当を支払うことが必要です。
また、解雇をした場合、解雇が不当なものであるとして訴訟を起こされるリスクも考えられるので、安易に解雇をするのではなく、十分に改善の機会を与えること、そして当該従業員に今の状態では雇用を継続することは困難であることを十分に説明して納得してもらうことが大切です。
そして、出来るだけ、一方的な退職勧告である「解雇」を行うのではなく、会社側が退職を勧めて、それに当該従業員が応じるかたちの「退職勧奨に応じての退職」にすることが望まれます。
この場合は、退職願い(退職理由には「退職勧奨に応じた為」という文言を書いて頂くことになります)をもらっておくと、さらにトラブルが起きづらくなります。
具体的なケースは3.解雇に関する判例(解雇が有効になるかどうか)をご覧ください。
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