同一労働同一賃金に関する訴訟について、10月13日と10月15日に最高裁の判決が出ました。判決日にはニュースでも取り上げられましたので、ご存知の方も多いかと思います。 |
報道の内容として気になりましたのが、 「パートに退職金と賞与は支払わなくていい」「扶養手当は払う必要がある」「労働者が敗訴したかと思えば、今度は勝訴」など、判決の結果だけを取り上げて内容が単純化されていたことです。 |
「そんな簡単に内容を判断できる事ではない」と私どもは考えています。 |
同一労働同一賃金の呼び名が広く知れ渡っていますが、「改正パートタイム・有期雇用労働法」の第8条では「待遇差に不合理であってはならないこと」が定められています。 |
今回の判決文を読みますと、職務内容・責任の度合い、各種手当の支給目的、正社員登用制度の内容、その他の事情などの事実関係を、それぞれの会社ごとに、正規労働者と非正規労働者の間で比較検討した結果の判決となっています。 |
また、今回は「不合理ではない」とされた判決では「退職金や賞与が支給されないことが、不合理とされることもある」と述べられています。 |
何が合理で、何が不合理に当たるのかが、一律に判断できないことが強調されています。 |
改正法の中小企業への適用は2021年4月1日からになっていますが、「同一労働同一賃金」の言葉は、従業員の意識やモチベーションに、すでに影響を及ぼしているかもしれません。 |
自社の人事制度の合理性に不安がある場合は、まずは各従業員が携わっている仕事の内容や、指示系統、責任の範囲などを一度洗い出してみて、従業員から本人の待遇について説明を求められたときに、合理的な説明ができるように準備を進められてはいかがでしょうか? |
【同一労働同一賃金への対応ステップ】
①パートタイマーや有期雇用労働者、契約社員がいるかどうか、従業員の雇用体系を確認する
②待遇差が有るものと無いものを整理して、待遇の現状を確認する
③待遇に違いを設けている場合、その違いの「理由」を確認する
④「理由」は説明可能な合理的なものか?を整理する
⑤不合理な待遇差があると考えられる場合は、待遇差をなくしたり、合理的な待遇差に改善する
【参考リンク】同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省)
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