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年金の繰下げ受給を生涯年金額から考えてみる

2019年3月1日

現役を引退した後の収入の保障(老後資金)として、現在は原則として65歳から国の老齢年金(国民年金、厚生年金)を受給することが出来ることになっておりますが、昨今では少子高齢化に伴う年金財政の悪化により、支給開始年齢の引上げなどが検討されております。

その検討の一つとして、年金の受給開始年齢の「繰下げ制度」の上限年齢を、現行の70歳から75歳に引上げるというものがあります。

現在は、年金を受給する年齢を原則の65歳からではなく、それ以降にずらすと1ヶ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増額するという仕組みがあります(繰下げ受給)。

ただ、その繰り下げる年齢の限度は、現行の制度では70歳まで(65歳時点に比べ1.42倍の年金を受給できます)とされておりますが、それを75歳までに延ばす(65歳時点に比べ1.84倍の年金を受給できるようになる予定)ことが検討されております。

 

年金を繰下げた場合に、何歳まで年金をもらうと(何歳まで生きると)、生涯もらえる年金額が多くなるのかということが気になる方も多いと思いますが、65歳からもらい始めた場合よりも70歳からもらい始めた方が生涯の受給額が多くなるのは、81歳となっております。

これは現在の日本人男性の平均寿命(81.09歳)とほぼ重なります。

つまり、男性の場合には平均寿命よりも長く生きることが出来れば、70歳まで繰り下げてもらい始めた方が、生涯にもらえる年金額は増えるということになります。

 

ただ、もちろん人間の寿命は事前には分かりませんし、必ずしも生涯の年金額が多い方が幸せかどうかというのは一概には言えませんので、体が元気なうちに年金を受給し始めて旅行や趣味などに使うというのも一つの考え方ですし、体が不自由になった時に少しでも経済的な余裕を持っておきたいというのも、ひとつの判断だと思います。

これからの高齢化社会は、いつまで、どのような働き方をするのかということも含めて、個々の状況や考え方に応じて、上手に生き生きとした60代以降を過ごすことが求められるのではないでしょうか。

(補足)2016年度のデータでは、年金の繰り下げ受給者は約3%にしか至っていないのが現状です。

 

 

【参考】平成31 年度の年金額改定についてお知らせします(厚生労働省)

老齢年金 繰上げ・繰下げ試算表

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