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労務相談Q&A

労働基準法及び判例等にかかるQ&A

試用期間の延長、及び試用期間の途中での解雇の可否 2

2015年8月25日
A

3か月ほど前に中途採用され、現在、就業規則で定める試用期間中の者がおりますが、その社員は、思うように営業成績が伸びないだけでなく、職場内でのコミュニケーションが上手くとれていないようで、会社にあまり向いているとは言えないのが現状です。

今月一杯で試用期間が満了しますが、本採用するのは難しいと判断した為、解雇しようかと考えています。問題があるでしょうか。

Q

試用期間は、本採用前に当該労働者の勤務態度、能力、技能を評価して適格性を判断し、採用するか否かを決定する期間です。

試用期間中は、使用者に労働契約を解約する権利(解約権)が残っており、正社員の解雇よりも広い範囲において解雇の自由が認められていると解されています。

しかし、試用期間中といえども解雇が自由に行えるものではなく、解雇に値する客観的にみて合理的な理由が必要です。

したがって、「会社に向いていない」という抽象的な理由では解雇理由になりません。

社員として適格性がないと判断するに至った理由(勤務成績や態度不良など)を具体的に示すように要求する方がいいでしょう。

 試用期間の法的性質は、現行法上は特段の規定はなく、学説上、種々の見解がありますが、最高裁は三菱樹脂事件の判決(最高裁大法廷昭48.12.12)で、「使用者と労働者との間の契約関係は、労働契約関係そのものにほかならないが、本採用に適しないと判断された場合には解雇しうるように解約権が留保された労働契約である」とする趣旨の判示をし、今日ではこのような見解がほぼ定着しています。

 また同判決では、留保解約権の行使は、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認されうる場合のみ許されるとしています。

 なお、試用期間中の者に対する解雇予告についても、雇用した日から14日を超えて引き続き勤務していれば、30日前の解雇予告か、30日分の平均賃金の支払いが必要となります。