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日本における差別とは ~採用選考で配慮すべきこと~

2020年12月1日

多くの日本人にとって、黒人に対する人種差別問題はアメリカの出来事と思われている人が多いと思いますが、アメリカの大都市で行われた抗議鼓動やデモ行進をきっかけに、日本国内の人種差別問題についても考えてみることが必要だと思います。

日本は世界から見ても、人種差別に対する意識が低い国とされています。日本は、多民族国家ではないので、人種差別問題が起こらないと考えている人が多いですが、一部の「人種や民族」に対しては多かれ少なかれ特別な思い(感情)は持っているように思います。

また、ヘイトスピーチという言葉を聞いたことがあると思いますが、「人種、出身国、民族、宗教、性的指向、性別、障害」など自分から主体的に変えることが困難な事柄に基づく差別もあります。それを、個人または集団で攻撃、脅迫、侮辱し、もしくは他人をそのように扇動する言論等がヘイトスピーチと言われています。
東京都の「ヘイト規制条例」、川崎市の「ヘイト禁止条例」は、行政が人権侵害の被害から市民を守る宣言であり、抑止効果が大いに期待されています。

 

日本にも古くからの差別問題があります。
江戸時代の身分制度が原因で、同じ民族であるにもかかわらず、特定の部落出身であるということだけで社会的、経済的、文化的に低く見られ、差別を受けていた「同和問題」です。明治政府により、この身分制度は廃止されましたが、今もなお続いている日本の人種差別といえます。

 

平成に年号が変わる頃まで、よく聞かれた採用面接時の「出身地」や「家族に関する」質問は現在では禁止されています。戸籍謄本や本籍地が書かれた住民票の提出を求めることも禁止です。
厚生労働省の告示により、採用に関する個人情報(人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる恐れのある事項)の収集は禁止されています。本来、採用は「応募者の人間性、スキル、経験等」で判断し、それ以外の本籍地等により選考が左右される差別があってはならない、ということです。

 

以下、「採用選考時に配慮すべき事項」です。面接の際には今一度確認されることをお勧めします。

<本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること
(注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること

 

<本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

 

<採用選考の方法>
・身元調査などの実施
(注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

 

【参考リンク】公正な採用選考の基本(厚生労働省)

 

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