先日、政府が外国人労働者の受け入れ拡大を検討しているニュースを目にしました。
東京オリンピックのインフラ整備にかかる建設工事や、少子高齢化による労働人口の減少や介護人材の需要増を補うために、外国人労働者を増やしていく狙いがあると思われます。
さて、現在でも、企業規模や社員・アルバイトの身分にかかわらず外国人労働者を雇用している企業がありますが、労務管理としては以下のことに注意する必要があります。
①在留カードの確認
雇用開始前に、労働者本人の在留カード(旧 外国人登録証)の原本を見せてもらい内容を確認します。その中でも「在留期間」と「在留資格」が重要です。
在留資格によって、就労できる業務が定められていますので、これ以外の業務に就く場合は「資格外活動許可」を入国管理局に申請する必要があります。
例えば、留学生がアルバイトをする場合は、留学資格の外国人は就労不可ですが、資格外活動許可を受ければ、風俗営業以外の仕事に週28時間まで就労することができます。
②罰則と罰金
在留期間を超えて国内に在留していた場合は「不法在留」となり、資格のない業務に就いた場合は「不法就労」となります。
不法在留や不法就労が発覚した場合、本人は強制送還、雇用者には懲役刑や罰金が科されることがあります。
③外国人労働者の賃金や社会保険
労働基準法や健康保険法など社会保険関係法令は、国籍を問わず外国人にも適用されます。
したがいまして、週40時間労働、有給休暇、解雇予告、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、最低賃金などを日本人労働者と同様に取り扱わなければなりません。
厚生年金、国民年金については、6ヶ月以上加入した外国人に対し、脱退一時金制度があります。
④雇用契約の明確化
「そうは言っても、これくらいはやってくれるだろう」「まさか、こんなことはしないだろう」という、日本特有の「暗黙の了解」は、外国人にはなかなか通用しませんし、自分の権利はきちんと主張してきます。外国人に限ったことではありませんが、採用後のトラブルを防止するために、雇用契約の内容を明確に、詳細に規定した雇用契約書を結んでおくことが必要です。
⑤意思を明確に伝える
「言われなくてもこれくらいは常識だ」という暗黙の了解は通じないものと考えて、お互いに、意思を明確に伝え合うコミュニケーションを心がけることが重要です。
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