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労務相談Q&A

労働基準法

業務時間外に副業をしている社員への対応

2018年12月3日
A

弊社では、会社以外の業務に従事することを禁止しており、勤務規定にも明記しています。
・服務規律
「会社の承認なく、営業を行い、または他の事業に関係してはならない」
・懲戒解雇
「会社の承認なしに他の業務に従事し、または在籍のまま他に雇入れられた者」

弊社の社員が、業務時間外にある飲食店の手伝いをしているようです。
もし無給で手伝いをしている場合は、問題にはならないのでしょうか。
さらに、店員の服装をしている写真などがインターネット上に掲載されています。

本人に厳重注意し、始末書での対応とする予定ですが、本来、規程通りだと懲戒解雇に該当する可能性もあるのでしょうか。

Q

原則として、業務時間外のプライベートでの時間の使い方については個人の自由です。                                                               にも拘わらず、会社が副業を禁止する理由としては、以下のようなものが考えられます。

①勤務時間外に仕事をすることで、本業の仕事中に疲れが出て支障をきたす                                                                      ②副業の業種(例えば水商売など)によっては、会社のイメージを損なう可能性がある                                                            ③本業と同じ業種(業界)での副業を行う場合、利益相反取引等につながる可能性がある                                                            ④企業情報等の流出につながる可能性がある

今回のケースの実態が、その規制をしている趣旨に合致するかどうかで判断をすることになるかと思います。                                                     一般的には副業というと、給与が発生するケースを想定していますが、無給だとしても本業に支障をきたすなどの場合には、規制の趣旨に合致します。

飲食店で手伝いをしているということですが、「臨時的に短時間の手伝いをしている」という程度であって、会社のイメージを損なうほどのことがなければ、「写真が掲載されている」からといって、直ちに厳しい懲戒処分にするのは やり過ぎな気がします。

よほど深刻なケースでなければ、戒告や譴責といった「注意」または「厳重注意+始末書」の処分にして、今後の状況を見るのが一般的です。                                                      懲戒解雇が妥当と判断されるようなケースというのは、副業ではなくそちらが本業になるような働き方をしてるケースや会社に大きな損害を及ぼすようなケースです。

副業容認の流れは、「働き方改革」計画の段階で、日本が抱える「労働人口の減少」の問題を軽減すべく、現在働いている労働人口をさらに活用するための方策として、副業・兼業の普及促進が公表されたことにより始まりました。
会社としては、受け入れる場合には労働不足解消のメリットもありますが、情報漏洩のリスクも大きく未だに副業容認に踏み切れない会社も多いのが実情です。

そのリスクを軽減するために、「副業」を容認する場合には就業規則の整備を進める必要があります。

【就業規則 改定例】
(副業)
第○○条  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に会社に所定の届出を行い、許可を得るものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合

(注意)就業規則の内容は、会社の実態に合わせ労使間で十分検討することが必要です。
特に、副業が起業ではなく、両方で雇用されている場合には、労働時間通算等も考慮し、副業・兼業の内容を届出させることがより望ましいと思います。