退職金の制度の一つに「確定拠出年金」という制度があります。この制度は出来てから既に17年ほど経っておりますが、昨今では個人型の確定拠出年金が適用される対象が拡がった(※)ことから、耳にすることも増えたのではないでしょうか。 その制度の概要やメリットなどについてみていきたいと思います。
当初は国民年金や厚生年金といった国が運営する公的年金に、企業が独自に上乗せをする企業年金という位置づけで始まりましたが、現在ではそれだけにとどまらず、個人が老後に備えて積み立てる個人年金の意味合いも増えてきました。 では、具体的にどのような制度なのでしょうか。
① 自分の口座で掛け金を管理及び運用(定期預金や株式、投資信託などを選択)をし、その運用実績に応じて年金の受給額が変わる
② 原則として60歳まで引き出したり、受給したり出来ない
③ 「企業型」と「個人型」があり、基本的には企業型は企業が掛け金を支払い、個人型は個人で掛け金を支払う (企業型でも個人が掛け金を上乗せして運用するマッチング拠出という制度もある)
④ 拠出額の上限額 企業型 ⇒ 企業年金(厚生年金基金や確定給付企業年金等)が無い会社に勤務している場合は月額55,000円 個人型 ⇒ 国民年金のみ加入又は企業年金が無い会社に勤務している場合は 月額23,000円
⑤ 税法上のメリットが大きい (掛け金は社会保険料控除を受けられたり損金算入ができる、また受給時は一時金で受給する場合には退職所得控除が受けられる 等)
⑥ 選んだ金融機関に対して口座の管理・運用費用がかかる、企業として従業員への投資教育などをする必要がある
また、企業が掛け金を拠出する企業型の中でも「選択制」確定拠出金という制度もあります。 これは、従業員が「給与の一部を減額して掛け金を捻出する」か、「掛け金を出さずに(選択制の確定拠出年金に加入せずに)、その分を給与・賞与などとしてもらう」かを選びます。 「給与の一部を減額して掛け金を出す」を選択した従業員は、その分の給与が少なくなります。 掛け金として拠出した場合には、その額は所得税や社会保険料の対象から除かれますので、税金や社会保険料が安くなるといったメリットもある反面、将来、もらう公的年金が減るというリスクもある為、慎重に検討をして導入する必要があります。
(※)平成29年(2017)1月より範囲が拡大され、企業年金実施企業の従業員、公務員、第3号被保険者(専業主婦・主夫)なども加入できるようになりました。
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